
『一杯の物語 TeaStory』
赤いゴダール
『一杯の物語 TeaStory』
005
赤いゴダール
おいおい、と思った。カフェのメニューに「GODARD(ゴダール)」という名のハーブティーがあるのを見つけたとき、私は思わず吹き出しそうになった。ジャン・リュック・ゴダール。フランス映画のあのゴダール。あの男の名を冠したハーブティー。いや、ちゃうやろ。
ゴダールにハーブティー?
それ、ストリートファイターがカフェラテ頼むようなもんやん。ハーブティーなんか飲むんか、あの男は。映画にパンチを入れるような編集をして、言葉をばらまいて、物語をぶっ壊した男が、ハーブティー?
なんか、ええ香りがして、「リラックスできます」とかどの口が言うねん? アホな。そんなん、ありえへん。
でも、頼んだ。頼まんとあかんやろ、ここまできたら。「GODARD(ゴダール)ください」って言った。カップに注がれたそれは、真っ赤やった。濃い、ごっつ赤い。たぶんバラとか、ハイビスカスとか、そういう色やろ。でも、私はそれを見た瞬間に『気狂いピエロ』のラストシーンを思い出した。ベルモンドが自分の顔に爆薬を巻きつけて、「これで自由だ」とか言うて、次の瞬間、ドン!って赤が弾ける、あのシーン。あの赤が、このカップの中にあるような気がした。ちょっと、こわなった。
口をつける。酸っぱい。でも、次の瞬間、舌の奥がぎゅっと縮こまる。あかん、これ酸っぱいのにスパイシー、スパイシーなのに酸っぱい、どっちなんや。体がついていかん。飲みながら、ゴダールの映画を初めて観たときのことを思い出す。『勝手にしやがれ』や。あれは映画やなかった。いや、映画やねんけど、映画やなかった。カメラが意味もなくパンして、時間が飛んで、登場人物がカメラ見て喋って、なんか、全部が間違ってるようで、でも、正しいようで。むちゃくちゃで、かっこよくて、何もかもが、もう、どうでもよくなるような気分やった。

私はまた、GODARD(ゴダール)を飲んだ。カップの中に、赤が揺れる。ゴダールは、赤をよく使う。『気狂いピエロ』の爆発、『中国女』の旗、『女と男のいる舗道』のネオン。赤は、警告の色で、愛の色で、血の色や。ゴダールの映画では、いつも赤が叫んでる。目を覚ませ、考えろ、走れ、止まるな。そういう色や。
外を見る。夜の都会。赤いテールランプが途切れなく流れていく。男がタバコを吸いながら立っている。スーツの男が電話で誰かに怒鳴っている。赤信号に立ち止まる人々。ゴダールの映画の中にいるみたいな夜や。彼の映画では、登場人物がいつも何かを探して、何かを失くして、それでも歩き続ける。正解なんかない。物語なんかない。ただ、続く。それが人生や。映画や。
カップの底には、まだ赤が残っていた。ゴダールは言った。「映画とは、24コマの真実と1秒間の嘘である」と。じゃあ、このGODARD(ゴダール)というハーブティーは、何や? ひとくちの革命か? ひとくちの愛か? ひとくちの裏切りか?
わからん。でも、そんなこと考えながら飲むハーブティーなんて、たぶん、これしかないやろうな。

GODARD・ゴダール
1,680円(袋)/2,680円(BOX)
薔薇の花びらをふんだんに使い映画監督「ジャン=リュック・ゴダール」へオマージュした赤いハーブティー。エスプリが効いたゴダール作品のように9種のハーブが複雑に口の中に広がります。ローゼルがセンシュアルな赤色を抽出し、スパイスの豊かな刺激と香りが、その場に特別な華やぎを与えます。ローズの抗鬱作用や豊富なビタミンCがストレスによる抑うつや不安を和らげ、気分を高揚させてくれます。
内容量:25g(約8杯分)
原材料:ローズ、ハイビスカス・ローゼル、ローズヒップ、アニス
カルダモン、オレンジピール、シナモン、ジンジャー、クローブ
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『一杯の物語 TeaStory』
赤いゴダール
『一杯の景色 TeaStory』
005
赤いゴダール
おいおい、と思った。カフェのメニューに「GODARD(ゴダール)」という名のハーブティーがあるのを見つけたとき、私は思わず吹き出しそうになった。ジャン・リュック・ゴダール。フランス映画のあのゴダール。あの男の名を冠したハーブティー。いや、ちゃうやろ。
ゴダールにハーブティー?
それ、ストリートファイターがカフェラテ頼むようなもんやん。ハーブティーなんか飲むんか、あの男は。映画にパンチを入れるような編集をして、言葉をばらまいて、物語をぶっ壊した男が、ハーブティー?
なんか、ええ香りがして、「リラックスできます」とかどの口が言うねん? アホな。そんなん、ありえへん。
でも、頼んだ。頼まんとあかんやろ、ここまできたら。「ゴダールください」って言った。カップに注がれたそれは、真っ赤やった。濃い、ごっつ赤い。たぶんバラとか、ハイビスカスとか、そういう色やろ。でも、私はそれを見た瞬間に『気狂いピエロ』のラストシーンを思い出した。ベルモンドが自分の顔に爆薬を巻きつけて、「これで自由だ」とか言うて、次の瞬間、ドン!って赤が弾ける、あのシーン。あの赤が、このカップの中にあるような気がした。ちょっと、こわなった。
口をつける。酸っぱい。でも、次の瞬間、舌の奥がぎゅっと縮こまる。あかん、これ酸っぱいのにスパイシー、スパイシーなのに酸っぱい、どっちなんや。体がついていかん。飲みながら、ゴダールの映画を初めて観たときのことを思い出す。『勝手にしやがれ』や。あれは映画やなかった。いや、映画やねんけど、映画やなかった。カメラが意味もなくパンして、時間が飛んで、登場人物がカメラ見て喋って、なんか、全部が間違ってるようで、でも、正しいようで。むちゃくちゃで、かっこよくて、何もかもが、もう、どうでもよくなるような気分やった。


私はまた、GODARD(ゴダール)を飲んだ。カップの中に、赤が揺れる。ゴダールは、赤をよく使う。『気狂いピエロ』の爆発、『中国女』の旗、『女と男のいる舗道』のネオン。赤は、警告の色で、愛の色で、血の色や。ゴダールの映画では、いつも赤が叫んでる。目を覚ませ、考えろ、走れ、止まるな。そういう色や。
外を見る。夜の都会。赤いテールランプが途切れなく流れていく。男がタバコを吸いながら立っている。スーツの男が電話で誰かに怒鳴っている。赤信号に立ち止まる人々。ゴダールの映画の中にいるみたいな夜や。彼の映画では、登場人物がいつも何かを探して、何かを失くして、それでも歩き続ける。正解なんかない。物語なんかない。ただ、続く。それが人生や。映画や。
カップの底には、まだ赤が残っていた。ゴダールは言った。「映画とは、24コマの真実と1秒間の嘘である」と。じゃあ、このGODARD(ゴダール)というハーブティーは、何や? ひとくちの革命か? ひとくちの愛か? ひとくちの裏切りか?
わからん。でも、そんなこと考えながら飲むハーブティーなんて、たぶん、これしかないやろうな。


GODARD・ゴダール
1,680円(袋)/2,680円(BOX)
薔薇の花びらをふんだんに使い映画監督「ジャン=リュック・ゴダール」へオマージュした赤いハーブティー。エスプリが効いたゴダール作品のように9種のハーブが複雑に口の中に広がります。ローゼルがセンシュアルな赤色を抽出し、スパイスの豊かな刺激と香りが、その場に特別な華やぎを与えます。ローズの抗鬱作用や豊富なビタミンCがストレスによる抑うつや不安を和らげ、気分を高揚させてくれます。
内容量:25g(約8杯分)
原材料:ローズ、ハイビスカス・ローゼル、ローズヒップ、アニス、カルダモン、オレンジピール、シナモン、ジンジャー、クローブ